補助金の主催者は事業計画書のどこに注目しているのか?

あなたはこの補助金で何がほしいですか?

新しいホームページですか?

歩くのが困難な人のためのスロープですか?

しかし、補助金の主催者は事業者のためにモノを買ってあげたいのではありません。

主催者は事業者に対して新しい販路を開拓して売上を上げてもらいたいと思っています。

事業者が細かい視点で見ているのに対し、主催者は大きな視点で考えています。

ミクロとマクロの違いですね。

その違いこそが多くの事業者さんが補助金を獲得できない理由です。

事業者さんには時間的にも金銭的にも切羽詰まった状況があります。

  • 材料を仕入れないといけない。
  • 買掛金を払わないといけない。
  • 給料を払わないといけない。
  • お客さんを呼び込まないといけない。
  • 計画を考えないといけない。

中長期的に状況を改善していくことよりも今現在の目先の状況を乗り越えることを最優先にしなければならないという状況があります。

しかし、主催者の視点はそこではありません。

そのため、この補助金を獲得するために提出する経営計画書では、

主催者側の
「事業者が売上を上げるための『補助プロジェクト』を応援したい」
という気持ちと

事業者側の
「売上を上げるための『作戦』を実行するためのお金が必要だ」
という気持ちを合わせて記載する必要があります。

補助金制度の目的

ひとつ例をあげてみます。

ある事業者Aさんは飲食店と小売店を営業しています。

今回は飲食店の売上を上げるための作戦について補助金を取りたいと考えます。

Aさんのお店ではファミリー層のお客さんが少なかったので、これからはファミリー層のお客さんを増やしていくことにしました。

そのため

  • 作戦その1:子ども用のメニューを開発する。
  • 作戦その2:子ども用の椅子や食器を導入する。
  • 作戦その3:キッズスペースを設ける。
  • 作戦その4:ホームページを開設する。

という作戦を考えました。

主催者の視点・・・飲食店の売上を上げる あるいは ファミリー層のお客さんを増やす

事業者の視点・・・4種類の具体的な作戦

という点で違っています。

事業者側の視点と主催者側の視点のイメージ

事業者さんが書いた経営計画書の下書きを見ると自分がしてほしいことだけをアピールしているものが本当に多いです。

もちろん事業者さん自身は自分の作戦が売上アップにつながることはわかっています。

また、主催者側も、申請書に明示していなくてもその作戦が売上アップにつながることはなんとなくわかっています。

しかし、作戦によっては読み取れない担当者もいます。

そして、役所の上司はわかってくれません。いや、わかろうとしません。

・・・とにかく、経営計画書では主催者側の視点と事業者側の視点を合わせて書かなければなりません。

役所や銀行などの大きな組織には「稟議(りんぎ)」というシステムがあります。

申請を受け取った担当者が申請内容を吟味してから、上司の「補助金を出していいぞ」「融資を出していいぞ」という決裁をもらいます。

現場の担当者は人間の身体でいうと手足に過ぎませんから、頭脳である上司の決断が必要なのです。

現場の担当者は事業者さんの気持ちをくんでくれます。

特に、若い担当者は流行の商品やサービスも知っているので、それらを応用しようと考えている事業者さんがやりたいこともわかってくれます。

事業者の気持ちをその担当者から上司に伝えてもらうためには経営計画書の書き方に工夫がいります。

専門的な用語には説明を付けなければいけないかもしれません。事業者さんは意味を知っていても、審査をする担当者・上司は知らないと思った方がいいでしょう。

その作戦を実行するとなぜお店や会社が儲かるのか、経営計画書の中で説明をしなければいけないかもしれません。

しかし、説明が長くなってもいけません。

担当者も上司も何百・何千という申請書を見なければいけません。1通の申請書にかける時間は10分もないでしょう。

事業者さんには語りたいことが山ほどあるでしょうが、その中で申請書に何を盛り込み、どこを削るのかを判断するのがテクニックです。

どの用語を説明し、どの用語を説明しないか決めるのがテクニックです。

経営計画書に思いの丈を盛り込んだら、これらのポイントをもとにもう一度見直してみてください。

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