【事業再構築補助金】新しくなった表紙(1ページ目)の書き方

最近の事業再構築補助金で話題になっているのは事業計画書につける表紙の書き方が定まったことです。

厳密に言うと1ページ目に書かなければならないことが定められただけで、指定の様式を必ず使わなければならないというわけではないのですが、国や行政とやり取りする場合は指定された参考様式を使った方が何かとスムーズに審査してもらうことができます。事業再構築補助金はいろいろな審査に時間がかかっていて入金が遅くなっているので、この変更は申請者の方にとってもメリットがあるでしょう。

また、申請者の方も事業計画を考えている間に、「結局何が一番やりたいことなのか」「何のために新事業(補助事業)を行うのか」といったことがブレてしまうことがよくあります。経営理念を壁に掲げるのと同じように、このページを書いた紙をパソコンの前に貼っておくだけでも事業計画作りが進むのではないでしょうか。

今回は参考様式をもとに「1:補助事業の具体的取組内容」の①について解説していきます。

◆参考様式「事業計画書表紙(※サプライチェーン強靱化枠以外)」

1:補助事業の具体的取組内容の①は下記のようになります。

1:補助事業の具体的取組内容
①応募申請する枠と事業再構築の種類(「新市場進出(新分野展開、業態換)」、「事業転換」、「業種転換」、「事業再編」、「国内回帰」)に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成してください。1ページ目に、既存製品と新製品、既存市場(顧客)と新市場(顧客)、既存事業と新事業などについて、これまでのものとこれからのものが、それぞれ何が異なるかを具体的に記載してください。1ページ目の記載については、事務局HPで掲載する参考様式もご参照ください。

事業再構築補助金公募要領(第11回)1.5版

事業計画書の1ページ目(表紙)に

  • 事業者名
  • 事業計画名
  • 申請枠
  • 事業再構築の類型
  • 既存事業について
     製品・サービス
     市場・顧客
  • 新規事業について(既存事業との違い)
     製品・サービス
     市場・顧客

を書くすることで、①で指定されている内容を記載したことになります。

参考様式「事業計画書表紙(※サプライチェーン強靱化枠以外)」はこちらからダウンロードできます。

◆参考様式「事業計画書表紙(※サプライチェーン強靱化枠以外)」に書くこと

事業者名
個人事業主の方は屋号と氏名
会社・法人の方は法人名を記入します。

事業計画名
補助事業でやることを短く表す名称を記入します。
新しい製品・商品・サービスや提供方法を踏まえるといいでしょう。

申請枠
参考様式の2ページ目や公募要領を参考に申請枠を決めて記入します。

事業再構築の類型
申請枠と同じように、公募要領や参考様式の2ページ目を参考に申請する類型を決めて記入してください。

既存事業について
これまで行っていた事業について、どのような製品・商品・サービスを提供していたのかを記入します。
日本産業分類に基づく記号・番号も記載しておくといいでしょう。

もし事業再構築補助金に申請しても業種が変わらないで、提供方法だけが変わるのであれば、これまでどのようなやり方でサービス等を提供していくのかも記載しておくといいでしょう。

例えば飲食店の場合だと、今まで店内(イートイン)だけだったけれども、今後はデリバリーサービスも始める、といった場合です。

新規事業について
新規事業についても既存事業と同じように、これから扱っていく製品・商品・サービスの内容、提供方法が変わる場合は新しい提供方法、新しく設定したターゲット市場・ターゲット顧客を記入します。

さらに、それらが申請する<事業再構築の類型>について、定められた申請要件をクリアしているかを示します。

◆具体例:うどん店からピザデリバリー店に業種転換

新事業についての欄は少しわかりにくいので、具体的な例をあげてさらに詳しく見てみましょう。

参考様式の2ページ目に下記のような表があります。

こちらを参考に、ご自身が申請する<事業再構築の類型>にはどんな要件が定められているかを確認します。

それぞれの要件の概要は、同じく参考様式2ページ目に掲載されています。

これでもまだよくわかりませんから、さらに詳しい解説は公募要領を参考にしてください。

改めて新規事業の欄の記入方法について、イートインのうどん店がうどんのデリバリー事業を始める場合を例に考えてみます。

既存事業新規事業
イートインのうどん店うどんのデリバリー
大分類M-宿泊業,飲食サービス業M-宿泊業,飲食サービス業
中分類76-飲食店77-持ち帰り・配達飲食サービス業
小分類763-そば・うどん店772-配達飲食サービス業
細分類7631-そば・うどん店7721-配達飲食サービス業

となります。

事業(中分類)が変わりますので、類型は「①新市場進出(新分野展開、業態転換)」類型または「②事業転換」類型のどちらかを選ぶことができます。

ただし、「②事業転換」類型には
「③売上高構成比要件:新たな製品等の属する事業(又は業種)が売上高構成比の最も高い事業(又は業種)となること」
という厳しい要件があります。

今回はうどん店事業を縮小する計画ではないので、「①新市場進出(新分野展開、業態転換)」類型で申請するとします。

「①新市場進出(新分野展開、業態転換)」類型の要件は

i.新たな製品・商品・サービスを提供すること、又は提供方法を相当程度変更すること(製品等の新規性要件)
ii.新たな市場に進出すること(市場の新規性要件)
iii.新規事業の売上高が総売上高の10%以上になること(付加価値額の場合は、15%以上)(新事業売上高10%等要件)

の3つなので、このうちiとiiを踏まえるといいのではないでしょうか。

◆新規事業「製品・サービス」の欄(記入例)

新規事業:「うどんデリバリー」事業
大分類:M-宿泊業,飲食サービス業
中分類:77-持ち帰り・配達飲食サービス業
小分類:772-配達飲食サービス業
細分類:7721-配達飲食サービス業

店舗で作った食品(うどん)を顧客の指定場所(住宅・オフィス等)に配達するサービス
既存事業のイートイン事業とは提供方法が異なり、「製品等の新規性要件」を満たす。

◆新規事業「市場・顧客」の欄(記入例)

店舗からスクーターで10分程度(3.5km)にお住まいの方やオフィス
既存事業とは顧客層が異なり、「市場の新規性要件」を満たす。

といったことを記載します。

◆注意点

この様式を記入する際は長文で説明する必要はまったくありません。この様式が採用された目的は新規事業の内容や既存事業からの変更点を一瞬で審査員に理解してもらうためですから、長文は減点されると思っていた方がいいでしょう。

長々と説明するのは後回しにして、各項目20文字以内の箇条書きで書けるくらいが理想です。

まずは箇条書きで書いてみて申請前に修正してもいいですし、事業計画(2ページ目以降)を書き終えてから書いても問題ありません。

このページは早めに終わらせて、次の項目に進みましょう。

◆事業モデル=誰に×何を×どのように

事業再構築補助金の趣旨・目的は簡単に言うと「事業モデルを変更することで、経営を改善すること」です。

事業モデルとは

  • 誰に(ターゲット顧客)
  • 何を(製品・商品・サービス)
  • どのように(提供方法など)

の3つをまとめたものです。

つまり、今回の改正は「表紙に事業モデルの3項目を書きなさい」ということになります。

審査員である中小企業診断士の方といえども、申請者の方の既存事業や新規事業について、イメージがないまま複雑な事業計画を読んでいても、申請者が何を伝えたいのかいまいちピントが合いません。

実は、当事務所でも、お客様にヒアリングをしているとき、これらが漠然としたまま話をしていても、なかなかお互いにピントが合わないときがありました。

ですから、今回の改正は納得できるものだと個人的には感じています。

繰り返しになりますが、箇条書きや単語だけでも書いておくと事業計画作りがスムーズに進みます。

是非一度、細かな事業計画案を書き始める前に書いてみてください。

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