【事業再構築補助金】「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型とは

事業再構築補助金に申請する際にまず考えなければならないのが類型(申請類型)についてです。

事業「再構築」補助金というぐらいですから、ご自分の事業を再構築つまり作り直す必要があります。

既存事業の業種・業態からどのような新事業に作り直すかによって、事業再構築補助金では

  • 「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型
  • 「事業転換」類型
  • 「業種転換」類型

の3類型に分かれています。

また、再構築にともなって会社組織に何らかの変更を行う場合は「事業再編」類型に申請できますし、今まで海外の工場で製品等を製造していたけれども、今後は国内に工場を建てて国内で製品等を製造するといった場合は「国内回帰」類型に申請することもできます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型

例えば

  • (製造業)今まで航空機用の部品を製造していたが、新たに医療機器用の部品を製造する(新分野展開)
  • (不動産業)今までビジネス客向けのウィークリーマンションを経営していたが、客室の一部をテレワークスペースや小会議室に改装してレンタルオフィス業を始める(新分野展開)
  • (飲食業)今まで店舗で地酒専門バーとして営業していたが、新たに地酒のオンライン販売業を始める(新分野展開)
  • (美容業)今まではネイルサービスしか提供していなかったが、新たにまつげエクステサービスを始める(新分野展開)
  • (カウンセリング業)今まで近隣の顧客を店舗に招いてカウンセリングを行っていたが、今後、遠隔地のお客様にもオンラインでカウンセリングを行う(業態転換)

このような場合が「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型にあたります。

「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型の申請要件

「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型の申請要件は

i.新たな製品・商品・サービスを提供すること、又は提供方法を相当程度変更する
こと
ii.新たな市場に進出すること
iii.新規事業の売上高が総売上高の10%以上になること(付加価値額の場合は、15%以上)

の3つを満たさなければなりません。

「新たな製品・商品・サービスを提供すること」とは

文字通り「新たな製品」または「新たな商品」または「新たなサービス」を提供することです。

事業再構築補助金の場合、公募要領などに記載されている「製品」「製品等」という単語は、申請者の事業によって「商品」や「サービス」と捉えても差し支えありません。

自社が今まで製造したことがない製品を製造したり、販売したことがない商品、提供したことがないサービスを提供することがこの要件にあたり、今まで過去に製造したことがある製品、販売したことがある商品、提供したことがあるサービスを提供することは、一時期製造や販売を中止していたとしてもこの要件をクリアしたことにはなりません。

もしこの要件をクリアできないのであれば、代わりに次の「提供方法を相当程度変更すること」という要件をクリアしなければなりません。

「又は提供方法を相当程度変更すること」とは

「提供方法を相当程度変更すること」とは、先ほどのカウンセリング業の例のように、サービス内容(製品・商品)はこれまでと同じだけれども、オンラインでの提供や販売を開始するといった具合に、提供方法や販売方法を追加・変更するような場合を言います。

もちろん、逆に、今まではオンライン販売のみだったけれども、店舗販売のようなオフライン販売を新たに開始する、でもかまいません。

「新たな市場に進出すること」とは

事業再構築補助金では、「市場」とは「顧客層」と読み替えていいようです。

例えば

  • 今までは「法人向け」サービスだったが、「一般消費者向け」にも販売開始する。
  • 今までは「一般消費者向け」の製品だったが、「法人向け」にリメイクする。
  • 今までは「女性専門」にサービスを提供していたが、新ブランドを立ち上げて「男性向け」サービスとして提供開始する。
  • 今までは「シニア向け」の製品だったが、性能・仕様を「若者向け」に見直した新製品を開発する。

といったこととが考えられます。

「新規事業の売上高が総売上高の10%以上になること(付加価値額の場合は、15%以上)」とは

計画期間3~5年後に売上構成比で10%以上の割合を占めるように事業を行っていかなければなりません。

3~5年間の「事業計画期間」は公募申請のときに申請者ご自身で計画したものになりますから、事業計画期間が3年の方もいれば4年の方もいらっしゃいますし、5年の方もいらっしゃいます

例えば、先ほどの製造業の会社が3年計画で事業再構築補助金に申請して採択されたとすると、補助事業が完了してから3年後には

  • 新規事業(補助事業)の医療機器部品製造の売上構成比が10%以上
  • 既存事業の航空機用部品製造の売上構成比が90%未満

にならなければならない、ということになります。

「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型は申請しやすい

申請要件のひとつに「新たな製品・商品・サービスを提供すること」とあるので、一見たいへんな類型のような気もしますが、「又は提供方法を相当程度変更すること」とあるように、今まで店舗営業などオフラインの事業しかしていなかった方にはオンラインの販売・提供方法を追加するだけで申請することができます

また、売上構成比についても新規事業(補助事業)の売上構成比が3~5年後に10%以上になればいいので、これも申請しやすい理由のひとつでしょう。

新事業や新業態のイメージはあるけど、大きな改革は予算的にも時間的にも難しい、という方は「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型で申請してみてはいかがでしょうか。

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