酒類販売業免許取得後の義務

★酒類販売業免許取得後の義務と各種届出・手続きは?


酒類販売業免許取得後の義務

酒類の仕入れ・販売ができる相手先

酒類販売においては、取得した酒類販売業免許に合った販売のみ行うことができます。

一般酒類小売業免許は、消費者又は酒場・料理店等酒類を取り扱う業者に販売することができる免許であり、他の酒類販売業者に対して酒類を販売することはできません。

通信販売酒類小売業免許は、店頭小売りや他の酒類販売業者に対してお酒を販売することはできません。

酒税法上の義務

酒類販売業者には、酒税法の規定により、次のような義務が課されています。
これらの義務を履行しない場合には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることとされています。

記帳義務

酒類の仕入れ、販売について次の事項を帳簿に記帳する必要があります。
また、帳簿は各販売場に備え付け、帳簿閉鎖後5年間保存してください。

(1)仕入れに関する事項

酒類の品目別及び税率の適用区分別(アルコール分別など)に、

  • 仕入数量
  • 仕入価格
  • 仕入年月日
  • 仕入先の住所及び氏名または名称

(2)販売に関する事項

酒類の品目別及び税率の適用区分別(アルコール分別など)に、

  • 販売数量
  • 販売価格
  • 販売年月日
  • 販売先の住所及び氏名または名称

(注)
1 販売先の住所及び氏名又は名称は省略することができます。
2 次に掲げる事項を厳守する場合には、販売した数量、販売年月日については、3ヶ月を超えない期間中の合計数量により一括して記帳することができます。

<1>仕入れた酒類の全部について、上記の仕入れに関する事項がすべて記載された伝票を仕入先から交付を受け、それを5年以上保存しておくこと。

<2>3ヶ月を超えない月の月末に酒類の棚卸しを行っていること。

3 税務署の職員が検査取締上必要があると認めたときは、仕入れ、販売に関する帳簿を検査することができることとなっています。

申告義務

【毎年度報告を要するもの】
毎年度(4月1日から翌年3月31日)の酒類の品目別販売数量の合計数量及び年度末(3月31日)の在庫数量 翌年度の4月30日まで

【次の事由が生じる都度、申告等を要するもの】

住所及び氏名又は名称、販売場の所在地若しくは名称に異動があった場合 直ちに(事由が生じた後、すぐに)
酒類の販売業を休止する場合又は再開する場合 遅滞なく(事由が生じた後、できる限り早く)
免許を受けた販売場と異なる場所に酒類の貯蔵のための倉庫等を設ける場合又はその倉庫等を廃止する場合 あらかじめ
税務署長から、酒類の販売先(酒場、料理店等)の住所、氏名又は名称の報告を求められた場合 別途定める日まで

届出義務

酒類販売業者は、次の事項について販売場等の所轄税務署長に届出する必要があります。

販売場等(酒類の製造場以外の場所)で酒類を詰め替えようとする場合 詰め替えを行う2日前まで

尚、お客さんが持ってきた容器にお酒を詰め替えて販売すること(量り売り)は届出の必要はありません。

酒類業組合法上の義務

1 酒類販売管理者の選任義務

※こちらでもすでにご紹介しています。
●酒類販売管理者の選任

酒類小売業者は、免許を受けた後2週間以内に、酒類の販売業務に従事する者のうち以下に該当する者を酒類販売管理者として販売所ごとに1人選任しなければなりません。通常は免許交付の際に選任届出を提出します。

酒類小売業者(法人である時はその役員)がその販売場において酒類の販売業務に従事するときは、自ら酒類販売管理者になることができます。

酒類販売管理者は販売所に常駐する必要はありません。ただし、酒類販売管理者が休暇をとったり、販売場を長時間不在にするときは、酒類の販売業務に従事する者の中から酒類販売管理者に代わる者を責任者として配置する必要があります。

また、販売場が広いときや2箇所に離れているときなども酒類販売管理者に代わる者を責任者として配置する必要があります。

2 酒類販売管理者選任の届出義務

※こちらでもすでにご紹介しています。
●酒類販売管理者の選任の届出

酒類小売業者は酒類販売管理者を選任、又は解任したときは2週間以内にその旨を所轄税務署長を経由して財務大臣に届け出なければなりません。

3 酒類販売管理者に研修を受講させるよう努める義務

※こちらでもすでにご紹介しています。
●酒類販売管理研修の受講

酒類小売業者は、酒類販売管理者を選任したときは、選任の日から3ヶ月以内に、財務大臣が指定する団体が実施する「酒類販売管理研修」を受講させるよう努めなければなりません。

酒類販売管理研修の実施団体等については国税庁ホームページて確認することができます。

酒類販売管理研修は免許を受ける前でも受講することができますので、早めに受講しておくといいでしょう。

4 表示基準の遵守

酒類小売業者は、未成年者の飲酒防止に関する表示基準を遵守しなければなりません。

表示基準に違反すると罰金刑があり、罰金刑を受けると酒類販売業免許の取消理由になりますのでご注意ください。

社会的要請への適切な対応

酒類販売業者には様々な社会的な要請に対し、適正かつ確実な対応が求められています。

1 未成年者の飲酒防止

未成年者の飲酒を防止するため、成人であることを確認した上で酒類を販売してください。

未成年者自身が飲むものだと知っていてお酒を販売したり提供したりすると罰金刑を受けることがあります。罰金刑に処された場合酒類小売業免許の取消理由となりますのでご注意ください。

また、年齢確認などを行う義務もあります。

2 公正な取引の確保

酒類業界が健全に発達し、消費者の利益を実現していくため、国税庁では公正な取引環境の整備に向けた取組を促進しています。

また、独占禁止法は、不当廉売、差別対価などの不公正な取引方法を禁止しています。

「酒類に関する公正な取引のための指針」には

  • 合理的な価格の設定
  • 取引先等の公正な取扱い
  • 公正な取引条件の設定
  • 透明かつ合理的なリベート類
  • 取引状況等実態調査の実施

について書いてあります。

「酒類の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」

「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」

一度読んでおくことをお薦めします。

3 酒類容器のリサイクルの推進

酒類小売業者の方に対しては、容器包装の使用の合理化や排出抑制に関する取り組みの促進が求められています。

特に、酒類小売業者の方が次の基準を満たす場合は、販売に用いたレジ袋や包装紙等の容器包装について再商品化義務が生じますので、ご注意ください。

<基準> 
主たる事業が小売・卸・サービス業の場合

売上高7千万円超又は従業員数5人超の事業者が対象

主たる事業が小売・卸・サービス業以外の場合

売上高2億4千万円超又は従業員数20人超の事業者が対象

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