下記の記事は2015年前後の小規模事業者持続化補助金制度について記載したものになります。現行の制度については必ず最新の公募要領を確認してください。
Point 8 .商工会議所・商工会との関わり
この補助金制度は商工会議所・商工会が運営しています。申請書の作成や事業を進行させるときに商工会議所・商工会のアドバイスを必要とするときがあります。
例えば申請様式のひとつである様式4「事業支援計画書」は、申請者(事業者)が書いた様式2「経営計画書兼補助事業計画書①」と様式3「補助事業計画書②」を地元の商工会議所・商工会に提出して様式4を書いてもらわなければなりません。
また、補助事業(補助金を使う企画、キャンペーン、プロジェクトなど)は商工会議所・商工会の助言を受けて経営計画を作り、その計画に沿って進める必要があります。
Point 9 .誰でも応募できるの?
法人として登記している会社または税務署に開業届を出している個人事業主が対象です。
Point 10 .他の補助金にも応募できるの?
同じ内容の事業(プロジェクト)について国(独立行政法人等を含む)が助成する他の制度(補助金、委託費等)と重複する事業については応募できません。
Point 11 .風俗営業許可を取っているけど応募できる?
事業内容が射幸心をそそるおそれがある事業、または公の秩序もしくは善良の風俗を害すおそれがある事業、公的な支援を行うことが適当でないと認められる事業については残念ながら応募できません。
Point 12 .申請のしめ切り日はいつ?
平成26年度の第1次募集のしめ切り日は平成27年3月27日(金)、第2次募集のしめ切り日は平成27年5月27日(水)でした(すでに終了しています)。
ただし、遅くとも1週間くらい前までには商工会議所または商工会で様式4を書いてもらうための面談を行わなければなりません。
この面談の受付終了がいつかはご自分の事業所を管轄する商工会議所・商工会に問い合わせて確認してください。
※制度についての最新の情報は必ず最新の公募要領をご確認ください。
Point 13 .採択されたら補助金はいつもらえるの?
補助金が入金されるのは事業が終わった後の後払いです。
申請する
↓
採択される
↓
「補助金交付決定通知書」が交付される
↓
補助事業(補助プロジェクト)を行う。経費を支払う(一旦自腹で支払う)。
↓
事後報告書を提出する。
↓
補助金が入金される
という流れになります。
Point 14 .採択されたらすぐにお金を使っていいの?
補助してもらう経費の支払いができるのは「補助金交付決定通知書」を受領した後からです。「補助金交付決定通知書」を受領した後で業者と契約書を交わし、一旦自腹で支払います。補助金が入金されるまで立て替えておく形です。
プロジェクトは補助金申請が採択されても採択されなくても必ずやると決めておいた方が間違いありません。補助金が出るならやる・出ないならやらないという考えは後々痛い目を見る可能性が高いです。
しかし、やると決めている場合、補助金申請の結果が出る前に、例えばホームページの作成を業者に発注したり、新しい設備の導入を契約してしまったりなど、先走ってしまうことがあります。その場合は採択されても事後報告ではねられてしまい、補助金が入金されません。
Point 15 .採択されたときの注意点は?
補助事業は事業実施期間内に終了し、事後報告書を提出する必要があります。
また、補助事業関係書類(帳簿や請求書・領収書など)は補助事業(補助プロジェクト)終了後5年間保存しなくてはなりません。
Point 16 .どんな費用を補助してもらえるの?
大きく分けると
①機械装置等費、②広報費、③展示会出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、
⑦雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑫委託費、⑬外注費
です。
※制度についての最新の情報は必ず最新の公募要領をご確認ください。
Point 17 .①機械装置等費
補助事業(補助プロジェクト)の遂行に必要な機械装置等の購入に要する経費を補助してもらえます。
例えば、新商品を開発する段階での、開発に必要な機械などです。
開発できた新商品を量産するための機械などは採用されない可能性が高いです。
Point 18 .②広報費
パンフレット・ポスター・チラシ等を作成するため、および広報媒体等を活用するために支払われる経費を補助してもらえます。
NG例:買い物弱者対策事業でない場合の自動車、自転車。事務用品、パソコン、一般事務用ソフトウェアなど汎用性が高いもの。単なる取り替え更新であって新たな販路開拓につながらない機械装置など。
Point 19 .③展示会等出費
新商品等を展示会に出展または商談会に参加するために要する経費を補助してもらえます。
展示会出展の出展料等に加えて、関連する運搬費、通訳料・翻訳料も補助対象となります。
※展示会等の出展については、申込みは交付決定前でも構いません。しかし、請求書の発行日や出展料等の支払日が交付決定日以前となる場合は補助対象となりません。
Point 20 .④旅費
補助事業の遂行に必要な情報収集や各種調査を行うため、および販路開拓( 展示会等の会場との往復を含む)のための旅費を補助してもらえます。
OK例:
- 新商品・新サービスの広報を目的としたホームページ作成
- ネット販売用ホームページ作成
- チラシ・DM・カタログの印刷・発送
- 新聞・雑誌・インターネット広告
- 看板作成・設置
- 補助事業の広告が掲載されたポケットティッシュ等
NG例:
- 単なる会社のPRや営業活動に活用される広報費
- 用紙・インク等の事務用消耗品費
- 他者の運営するインターネットショッピングモールへの出品・利用料等
- チラシ等配布物のうち未配布・未使用分
OK例:
- 公共交通機関を使った最も経済的&合理的な経路の実費
- 展示会への出展のための交通費
- 新商品生産のための原材料調達の調査等の交通費・宿泊代
NG例:
- タクシー代、ガソリン代、高速道路通行料金、レンタカー等
- グリーン車、ビジネスクラス料金
- 単なる視察・セミナー等参加のための旅費
- 朝食付・温泉入浴付宿泊プランにおける朝食料金・入浴料
Point 21 .⑤開発費
新商品の試作開発にともなう原材料、設計デザイン、製造改良加工するために支払われた経費を補助してもらえます。
原材料等を購入する場合、補助事業終了時には使い切ることが原則です。未使用分の価格は補助されません。
Point 22 .⑥資料購入費
事業遂行に必要不可欠な図書等を購入費などの経費を補助してもらえます。
取得単価(消費税込)が10万円未満のもに限ります。
購入する部数・冊数は1種類につき1部が限度です。
Point 23 .⑦雑役務費
事業遂行に必要な業務・事務を補助するため臨時的に雇い入れた者のアルバイト代、派遣労働者の派遣料、交通費を補助してもらえます。
作業日報等の作成が必要です。
Point 24 .⑧借料
事業遂行に直接必要な機器・設備等のリース料・レンタル料を補助してもらえます。
見積書、契約書等が確認できるものに限ります。
OK例:
- 試作品の生産に必要な経費
- 包装パッケージのデザイン外注・印刷
- 業務システム開発の外注
NG例:
- 販売を目的とした製品商品等を量産するための経費
- 購入した材料の未使用分の費用
Point 25 .⑨専門家謝金
事業の遂行に必要な指導・助言を受けるために依頼した専門家等に謝礼として支払われる経費を補助してもらえます。
謝金の単価は、補助事業者が定める規定等によりその単価の根拠が明確で、社会通念上妥当なものに限ります。
依頼する業務内容について書面等を取り交わして明確にする必要があります。
本補助制度の応募書類作成代行費用は補助対象外です。
Point 26 .⑩専門家旅費
事業の遂行に必要な指導・助言等を依頼した専門家等に支払われる旅費を補助してもらえます。
ただし、事業内容の性質上見積もりを取ることが困難な場合は、該当する企業を随意契約先とすることができます。
例えば、特殊な技術を使った作戦なのでこの技術を持っているA社にしか発注できないプロジェクトである。だからA社以外の会社から見積もりを取ることはできない、といった場合です。
そのような場合はA社を随意契約先とするための理由書が必要になります。「この技術を持っているのはA社だけだから他社から見積もりを取ることはできない」と書けばいいわけです。
Point 32 .補助金は返済しないといけないの?
この補助金は基本的には返済する必要はありません。
ただし、補助事業で収益があった場合や申請時の予算ほど実費がかからなかった場合などは補助金が減額されることがあります。
Point 37 .事業? 補助事業? いったい何を指してるの?
一般的に「事業」というと次のような場合が考えられます。
その1:その人の、その会社の経営全体を指す場合。
その2:ひとつの会社で建設事業や不動産事業をかけ持ちで行っているなど、部門ごとに分けた場合。
その3:●●ダム建設事業とか▲▲ビル建設事業など、プロジェクトごとに分けた場合。
小規模事業者持続化補助金では「事業」または「補助事業」と言った場合、「その3」のケースに当てはまります。
でも、公募要領を見ると、主催者側から見た「事業者を補助するプロジェクト」を指しているようにも見えますし、事業者側から見た「補助してもらうプロジェクト」のことも指しているようにも見えます。なんだかややこしいですね。
そこで、このポイント集では事業者側から見た「補助してもらうプロジェクト」のことを「補助プロジェクト」と呼ぶことにします。事業者側から見た「売上をアップさせるための作戦」という考え方を中心にしていきます。
Point 38 .主催者はどこに注目している?
あなたはこの補助金で何がほしいですか?
新しいホームページですか?
歩くのが困難な人のためのスロープですか?
しかし、この補助金の主催者は事業者のためにモノを買ってあげたいのではありません。
主催者は事業者に対して新しい販路を開拓して売上を上げてもらいたいと思っています。
事業者が細かい視点で見ているのに対し、主催者は大きな視点で考えています。
その違いこそが多くの事業者さんが補助金を獲得できない理由です。
事業者さんには時間的にも金銭的にも切羽詰まった状況があります。
材料を仕入れないといけない。
買掛金を払わないといけない。
給料を払わないといけない。
お客さんを呼び込まないといけない。
計画を考えないといけない。
・
・
・
中長期的に状況を改善していくことよりも今現在の目先の状況を乗り越えることを最優先にしなければならないという状況があります。
しかし、主催者は視点はそこではありません。
そのため、この補助金を獲得するために提出する経営計画書では、主催者側の
「事業者が売上を上げるための『補助プロジェクト』を応援したい」という気持ちと
事業者側の
「売上を上げるための『作戦』を実行するためのお金が必要だ」という気持ちを合わせて記載する必要があります。
ひとつ例をあげてみます。
ある事業者Aさんは飲食店と小売店を営業しています。
今回は飲食店の売上を上げるための作戦について補助金を取りたいと思いました。
Aさんのお店ではファミリー層のお客さんが少なかったので、これからはファミリー層のお客さんを増やしていくことにしました。
そのため
- 作戦その1:子ども用のメニューを開発する。
- 作戦その2:子ども用の椅子や食器を導入する。
- 作戦その3:キッズスペースを設ける。
- 作戦その4:ホームページを開設する。
という作戦を考えました。
主催者の視点・・・飲食店の売上を上げるあるいはファミリー層のお客さんを増やす。
事業者の視点・・・4種類の具体的な作戦
という点で違っています。
事業者さんが書いた経営計画書の下書きを見ると自分がしてほしいことだけをアピールしているものが本当に多いです。
もちろん事業者さん自身は自分の作戦が売上アップにつながることはわかっています。
また、主催者側も、申請書に明示していなくてもその作戦が売上アップにつながることはなんとなくわかっています。
しかし、作戦によっては読み取れない担当者もいます。
そして、役所の上司はわかってくれません。いや、わかろうとしません。
・・・とにかく、経営計画書では主催者側の視点と事業者側の視点を合わせて書かなければなりません。
役所や銀行などの大きな組織には「稟議」というシステムがあります。申請を受け取った担当者が申請内容を吟味してから、上司の「補助金を出していいぞ」「融資を出していいぞ」という決裁をもらいます。現場の担当者は人間の身体でいうと手足に過ぎませんから、頭脳である上司の決断が必要なのです。
現場の担当者は事業者さんの気持ちを酌んでくれます。特に、若い担当者は流行の商品やサービスも知っているので、それらを応用しようと考えている事業者さんがやりたいこともわかってくれます。
事業者の気持ちをその担当者から上司に伝えてもらうためには経営計画書の書き方に工夫がいります。専門的な用語には説明を付けなければいけないかもしれません。事業者さんは意味を知っていても、審査をする担当者・上司は知らないと思った方がいいでしょう。その作戦を実行するとなぜお店や会社が儲かるのか、経営計画書の中で説明をしなければいけないかもしれません。
しかし、説明が長くなってもいけません。
担当者も上司も何百・何千という申請書を見なければいけません。1通の申請書にかける時間は10分もないでしょう。
事業者さんには語りたいことが山ほどあるでしょうが、その中で申請書に何を盛り込み、どこを削るのかを判断するのがテクニックです。どの用語を説明し、どの用語を説明しないか決めるのがテクニックです。
経営計画書に思いの丈を盛り込んだら、これらのポイントをもとにもう一度見直してみてください。
Point 39 .経営計画書にはどんなことを書くの?
ではいよいよ申請書類の具体的な内容に入っていきます。まずはざっと各様式にある見出しをチェックしていきます。
様式1 : 単独1事業者による申請の場合
郵便番号、住所、名称、代表者の役職・氏名、電話番号
様式1-2 : 複数事業者による共同申請の場合
代表事業者の郵便番号・住所・名称・代表者の役職・氏名・電話番号
その他各共同事業者について郵便番号・住所・名称・代表者の役職・氏名・電話番号
※様式1と様式1-2はどちらか一方だけ使います。
様式2 : 経営計画書
<応募者の概要>
主たる業種:中分類の番号、中分類上の業種名称
従業員数
資本金額
創業・設立年月
連絡担当者氏名・役職・郵便番号・住所・電話番号・携帯電話番号・FAX番号・E-mailアドレス
前回(昨年度)の持続化補助金の採択・交付決定・事業実施業者か否か
前回補助を受けた事業の販路開拓状況・成果と今回の補助事業との違い
みなし大企業か否か
1.企業概要
2.顧客ニーズと市場の動向
3.自社や自社の提供する商品・サービス
4.経営方針・目標と今後のプラン
様式3:補助事業計画書
Ⅰ.補助事業の内容
1.補助事業で行う事業名
2.補助事業の具体的内容
3.共同事業について
(1)共同で事業を実施する必要性
(2)参画小規模事業者の役割・取組
4.補助事業の効果
Ⅱ.経費明細表
経費区分、内容・必要区分、経費内訳、補助対象経費
雇用増加、従業員の待遇改善、買い物弱者対策に関するチェック
Ⅲ.資金調達方法
様式4:小規模事業者持続化補助金事業に係る事業支援計画書
※この様式は商工会議所または商工会が作成します。
様式5:小規模事業者持続化補助金交付申請書
住所、名称、代表者の役職・氏名
- 補助事業の目的および内容
- 補助事業の開始日および完了予定日
- 補助対象経費
- 補助金交付申請額
- 補助事業に関して生ずる収入金に関する事項
- 消費税の適用に関する事項
様式6:「従業員の処遇改善の取り組み」に関する報告書
様式7:「買い物弱者対策の取り組み」に関する説明書
様式8:「買い物弱者対策事業」推薦書 ※市町村が記入
※様式6・7・8は該当する事業者が提出します。全員が提出するわけではあり
ません。
Point 40 .企業概要の書き方
みなさんが申請書を書く上で最も難しい・時間がかかると思うのが様式2「経営計画書」だと思います。
様式に書かれている見出しを見ても何を書くのか曖昧だったり、今まで考えたり調べたりしたことがないという項目もあるかもしれません。
このポイント集ではそれらについて分解して、「○○について書いてください」という形で何を書けばいいかわかりやすく示していきます。質問のしかたはわかりやすく、しかし実は専門的な分析方法に基づいた質問にしてあります。質問をよく読んでじっくり取り組んでください。市場動向などわからないところがあれば後回しにしてもかまいません。
しかし、しっかり考えて現時点でのあなたの答えを書くことで事業について見直し、今後の方向性が見えてきます。それはもし補助金が獲得できなかったとしてもあなたとあなたの事業にとって非常に価値のあるものです。
Point 49 .プロジェクトの概要を表す事業名を決めよう
補助事業で行う事業名の欄には補助金を出してもらうプロジェクトのタイトルを書きます。
30文字以内という規定は必ず守りましょう。
「○○の販路拡大」や「△△を活用した顧客拡大」「◇◇事業」などおおまかなタイトルでもいいですし、「ホームページ作成」など具体的な作戦名でもかまいません。
文字数が許す範囲内で、事業名を読んでどんなプロジェクトなのかなんとなく予想できるような事業名が理想です。
文末は体言止めが多いですが「開発する」など動詞で止めても差し支えありません。
平成27年6月発表の採択一覧が日本商工会議所のホームページ
https://h26.jizokukahojokin.info/index.php/itiji_saitaku/
https://h26.jizokukahojokin.info/index.php/niji_saitakusha/
でも公開されているので参考にしてもいいでしょう。
Point 50 .補助事業の具体的内容を表そう
補助金を受けてどんなプロジェクト(作戦)を実行していくか、そのために何が必要か、それを購入してどんな作業をするか、補助金を使うプロジェクトについて具体的な内容を書きます。また、そのプロジェクトを行う理由やプロジェクトを行った結果何がどう変化するか、売上金額の変化や販売個数の変化なども書いていきます。
注意するのはPoint 47やPoint 48では会社や個人事業主としての経営全体のことをふまえても問題ありませんでした。例えば飲食店業と小売店業を兼業しているなら、その両方を合わせた経営方針・目標を書いてよかったわけです。
しかし、様式3「補助事業計画書」では補助金を使うプロジェクトだけをピックアップして書きます。
Point 55 .補助事業の効果は3つのカテゴリーで表す
さて、いよいよ最後の項目です。
国から補助金をもらって補助プロジェクトを実行した結果、どのような効果・利点が見込まれるか、予想(希望的観測)を記入します。予想とは言っても断定的に書いていきます。
補助金を給付しても効果がなければ国としてはお金をあげる意味がありません。
「こんな風に良いことがあるのでそのためのお金をください」とアピールします。
「本当に効果が出るか不安」という方もいらっしゃると思いますが、内心ではそう思っていても強気で書いていきましょう。
表現としては「売上が上がる見込みである」と希望的観測のように書くよりも「売上が上がる」と断定的な形に変えて書きましょう。
効果・利点は3つのカテゴリーに渡って書きます。
(1)自社にとっていいこと
(2)従業員にとっていいこと
(3)社会にとっていいこと
よく「顧客数が増える」「売上が上がる」など自社にとっていいことだけを並べている方がいらっしゃいます。
しかし、補助金を出費するのは国ですから、国あるいは地域社会にとっていいこともあった方がいいわけです。
自社だけでなく他者にとってのメリットも盛り込んでいきましょう。
Point 61 .申請時に送付するモノ
基本的に申請は郵送で行います。持参は認められません。
ただし、商工会によっては都道府県ごとの商工会連合会で取りまとめて郵送する場合もあります。その場合は最初の問い合わせや様式4をもらいに行ったときに商工会に確認してください。
郵送の場合、封筒に同封するものは
法人の場合
- 様式1 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(単独申請)
(または様式1-2小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(共同申請)) - 様式2 経営計画書
- 様式3 補助事業計画書
- 様式4 事業支援計画書(商工会議所・商工会が作成)
- 様式5 交付申請書
- CD-R・USBメモリなど(様式1・2・3・5を保存したもの)
- 貸借対照表(直近1期分)
- 損益計算書(直近1期分)
- 現在事項全部証明書または履歴事項全部証明書
- (その他必要に応じて様式6・7・8)
個人事業主の場合
- 様式1 小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(単独申請)
(または様式1-2小規模事業者持続化補助金事業に係る申請書(共同申請)) - 様式2 経営計画書
- 様式3 補助事業計画書
- 様式4 事業支援計画書(商工会議所・商工会が作成)
- 様式5 交付申請書
- CD-R・USBメモリなど(様式1・2・3・5を保存したもの)
- 直近の確定申告書(決算期を一度でも迎えたことがある場合)
または開業届(決算期を一度も迎えたことがない場合) - (その他必要に応じて様式6・7・8)
万が一決算期が終わってばかりで直近1年分の貸借対照表や損益計算書ができていないという場合は担当の商工会議所・商工会に問い合わせてみてください。
Point 62 . CD-R やUSB メモリを準備する
申請書類を郵送する際に、申請書のデータ(Microsoft Wordファイルなど)を保存したCD-RまたはUSBメモリなどを同封します。
保存するデータは商工会議所・商工会での面談で様式1・2・3・5のチェックを受けた後で、そのチェック内容を修正したデータを保存します。
データを保存するときは各ファイル名を
(株)うなり工務店の様式1.doc
(株)うなり工務店の様式2.doc
(株)うなり工務店の様式3.doc
(株)うなり工務店の様式5.doc
といった具合に変更します。
様式1と様式5には会社の代表者印(法人の場合)または個人印(個人事業主の場合)を捺印する箇所がありますが、保存するデータは捺印しなくてかまいません。
必ず日本商工会議所や各都道府県の商工会連合会のホームページで配布されているWordファイル(商工会議所の場合)またはExcelファイル(商工会の場合)を使って作成した申請書を保存してください。PDFファイルなどでは認められません。
日本商工会議所
https://h26.jizokukahojokin.info/
商工会連合会一覧
https://www.shokokai.or.jp/soshiki/ken_list.html
CD-Rを作る環境がない場合(CD-Rに書き込みできる装置がないなど)はUSBメモリがおすすめです。安いものは500円前後で購入できます。
Point 63 .(法人)現在事項全部証明書・履歴事項全部証明書とは
現在事項全部証明書・履歴事項全部証明書とは昔の商業登記簿のことです。法務局で取得することができます。法務局の登記簿は今や電子データに置き換えられましたので、呼び方もこのようなものに変わりました(長いので登記簿と言うことも多いですが)。
現在事項全部証明書も履歴事項全部証明書も会社の名称や所在地、事業目的、役員構成などが掲載されていることに変わりはありません。
現在事項全部証明書
会社の所在地や役員構成など、現在の状態だけが書いてあるもの。
履歴事項全部証明書
所在地や役員構成など今までの変遷の履歴も載っているもの。
この補助金の申請にはどちらを使ってもかまいません。
ただし、いずれにしても申請前3ヶ月以内に取得したものを同封してください。
また、インターネットの登記・供託オンライン申請システムというものがありますが、こちらを利用すると必要な現在事項全部証明書・履歴事項全部証明書の取得を電子申請することができ、郵便で送ってもらうこともできるので、法務局に行く必要がなく便利です。ただし、最初使い始めるときには登録作業や設定が必要です。
登記・供託オンライン申請システム
https://www.touki-kyoutaku-net.moj.go.jp/
また、インターネットの登記情報提供サービスというものがありますが、こちらで取得した登記情報を印刷したものは申請には使えませんので注意してください。
Point 66 .発送先の違いの話
申請書類の準備ができたら郵送によって申請先に提出します。申請先への持参は認められませんので注意してください。
また、商工会議所が管轄している事業者なのか、商工会が管轄している事業者なのかによって郵送先も異なりますのでこれまた注意が必要です。
自分が商工会議所と商工会のどちらの管轄になるかは事業所の所在するエリアや事業規模によって異なります。早めに地域の商工会議所または商工会に連絡して確認しておくようにしてください。
※制度についての最新の情報は必ず最新の公募要領をご確認ください。
郵送方法は特に定められていませんが、例えば宅配便や郵便局の特定記録、レターパックなどの記録の残る方法がいいでしょう。
発送できたらこれで申請提出は完了です。お疲れ様でした。
【商工会の場合】
商工会によっては事業者各自で郵送申請するのではなく、都道府県内の商工会で取りまとめ、一括して郵送するケースがあります。
例えば静岡県内にC商工会とD商工会があり、
- C商工会に所属しているA事業者はC商工会に窓口申請する。
- D商工会に所属しているB事業者はD商工会に窓口申請する。
- そして、静岡県内のすべての商工会で申請書を取りまとめて、長崎県商工会連合会に郵送する。
という具合です。
また、窓口申請する場合も、様式4を作成してもらうための面談のときに申請する場合や、様式4を作成してもらった面談の後日に申請する場合など様々です。所属する商工会に必ず確認してください。
付録
採択後の手続き、事後報告についてこの項目は申請が終わってから読んでも十分です。まずはこれまでの章に集中してしっかり頭に入れてください。
Point 69 .補助対象経費は補助対象でない経費とハッキリ分けましょう
補助プロジェクトにかかる経費は補助対象でない経費と明確に分けるようにしてください。
例えば、ある印刷会社さんにプロジェクトの作戦のひとつであるチラシの印刷と補助金制度とは関係ない自社の会社名などが印刷された封筒の発注を同じタイミングでするとします。
補助対象経費も最初は自腹を切りますから、この場合のチラシの印刷代も封筒の印刷代も自社のサイフから出します。それでも印刷会社さんに連絡をして支払いを分けるようにします。
具体的には、チラシの印刷代の請求書や領収書と封筒の印刷代の請求書や領収書を別々に発行してもらうようにします。
そうすると経理が明確に分かれ、補助金事務局へ事後報告・補助金交付請求をするときも提出書類が補助金対象経費(チラシ印刷代)だけのものになり、補助金交付もスムーズになります。
スムーズというか、このような方法をとらないと採択されていても補助金を交付してもらえませんから、必ずこのような方法をとるようにしてください。
Point 70 .支払い消費税の扱いは事業者によって違います
補助金事務局に対して実績報告書などを出す際は、補助金額については事業者の課税状況によって消費税等仕入控除税額を減額するかしないかが変わってきます。
- 課税事業者の場合
補助プロジェクトを実施する際に支払った消費税は補助されません。実績報告書で費用を計算するときは税抜金額を計上します。消費税の分は補助してもらえないということです。 - 簡易課税事業者・免税事業者の場合
補助プロジェクトを実施する際に支払った消費税も補助金額に含めることができます。実績報告書で費用を計算するときは税込金額を計上します。消費税の分も補助金がもらえるわけです。
Point 71 .補助金の証拠書類はなぜ必要なの?
物品を購入した費用やサービスを受けた費用に補助金をあてるには
「なぜその物品やサービスを選んだのか」
「なぜその事業者から購入したのか」
「どのようにして注文したのか」
「いつ、どこで、どのようにその物品を受け取ったり、サービスを受けたりしたのか」
「いつ、どのようにして代金を支払ったのか」
を説明する必要があります。
そしてその説明は口頭ですることはできません。説明をするためのに実績報告書や帳簿、証拠書類が必要になります。
特に
「なぜその物品やサービスを選んだのか」
「なぜその事業者から購入したのか」
を書類で説明するのは難しいところもありますので、納品書など普段は捨ててしまうような書類も保存するようにしてください。
また、知り合いの業者に依頼する場合は電話口で依頼することもありますが、後からでも発注書を取り交わすようにしましょう。
Point 72 .どんなものが証拠書類として使えるの?
物品の購入やサービス提供の段階に応じて次のような証拠書類を保存するようにしておくといいでしょう。
取引段階証拠書類の内容例
- 物品やサービスなどの概要を発注・仕様書
- 契約前に示した書類カタログ
- 仕様提示内容についてホームページを印刷したもの
- 取引先からの提案資料
- 物品やサービスなどの費用を事前に見積書
- 見積もり
- 価格について掲載のホームページを印刷したもの
- 物品やサービスなどを発注・契約し発注書、契約書、FAX
- 発注・契約たことが確認できる書類電子メールのプリントアウト
- 受注確認書、注文請書
- 納品・完了・物品やサービスなどを受け取ったま納品書
- 検収たは完了したことが確認できる書類完了報告書
- 物品やサービスなどの代金を請求さ請求書れたことが確認できる書類
- 物品やサービスなどの代金の支払確振込の控え
- 支払認が可能な資料(原則は口座振り込ネットバンキングの記録のプリンみ) トアウト
- その他支出内容がわかる資料物品などの写真
- 物品などの写真・報告書チラシなどの現物やコピー
Point 73 .領収書に書く内容は?
物品を購入したりやサービスを受けたときなどにもらう領収書やその他の書類は下記の内
容が書いてあるものをもらってください。
(1)書類の宛名「うなり工務店御中」など
(2)書類の発行日
(3)領収書の名称「領収書」
(4)金額・サービスを受けた作業時間など
(5)書類の説明(但し書きなど)
(6)書類の発行者
Point 74 .クレジットカードは使わない方がいい?
補助対象経費の支払いにクレジットカードを使うことはできます。
しかし、できればクレジットカードは使わない方がいいでしょう。
その理由は
理由1:
クレジットカードを使って支払った日はまだ自分のサイフからお金が減っていないので、経費支出日として認めてもらえるか疑問。
理由2:
クレジットカードの引き落とし日が経費支出日として扱われる場合、事業実施期間内に引き落とされるか注意する必要がある。
理由3:
クレジットカードの引き落としは補助対象経費でない他の支払いもまとめて引き落とされるため、補助対象経費を区別するのが難しく、補助金事務局への報告が認められない場合がある。
理由4:
カード会社から支払いを受けた業者が発行する領収書の宛名はカード会社宛てになりかねない。そのため証拠書類の要件を満たすことができない。
例えば補助対象の資料をAmazonでクレジットカードを使って購入するという場合を考えてみます。経費費目は⑥資料購入費です。
クレジットカードを使って支払うということはAmazonへの支払いをカード会社が一旦立て替えてくれるということです。この時点ではAmazonに対して自分のサイフからは1円も支出していません。したがって、「資料の購入日≠経費支出日」となります(理由1)。
そして、1ヶ月間いろいろなお店、業者、インターネットショッピングなどで、補助金制度と関係ない通常の事業活動に必要な物品の購入やサービスへの支払いも同じクレジットカードを使う場合があるでしょう。同じく各業者に対して自分のサイフからは1円も支出していません。
事業所の銀行預金からカード残債(クレジットカードで支払った費用)が引き落とされるのは通常は購入日から1~2ヶ月後のことです。資料を購入したのが補助事業実施期間内だったとしても、引き落とされるのは実施期間終了後になってしまうかもしれません。その場合は実施機関内に経費を支出したと認めてもらえず、補助対象外になってしまいます(理由2)
カードの引き落とし日になると補助対象経費もそうでない経費もまとめて銀行預金から引き落とされます。その内訳はカード会社から送られてくる明細に載っていますが、補助対象経費・そうでない経費含めて日付順に書いてあるので補助金事務局が要求する「明確に区別している」とは言えません(理由3)。
そして最後に、クレジットカードの支払いスキームというのは、購入者と販売業者の間にクレジットカード会社が入ることになります。Amazonが直接支払いを受けているのはカード会社からですから領収書の宛名はカード会社の名前になってましいます。
領収書の発行者はAmazon、宛名は事業者という領収書が必要なので、クレジットカードで支払った場合は領収書を用意するのが難しくなってしまいます。
書籍に限らず、ネットバンキングで購入する場合もクレジットカードは使わず、銀行振込で支払った方が後々の事務処理がかんたんです。
Point 75 .証拠書類は原本を提出するの?
事後報告のために補助金事務局に提出する実績報告書や証拠書類はすべてコピーを提出します。
ただし、実績報告書に会社の代表者印などの印鑑を押すときはコピーではなくきちんと朱肉を使って押しましょう。
また、領収書の用紙がA4サイズでないものはA4用紙に原寸大でコピーして用紙の大きさを揃えるようにします。
用紙の大きさを揃えてもホチキスどめをしてはいけません。まとめた用紙の左肩をクリップでとめるか、バインダーやクリアファイルなどを使って経費ごとにまとめます。
証拠書類(領収書・請求書など)の原本はご自分の事業所で保管します。
ご自分の事業所で保管する実績報告書や証拠書類も、提出用と同じようにバインダーやクリアファイル、インデックスシールなどを使ってひとまとめにしておきます。
なぜなら、補助金事務局から報告内容について問い合わせの電話が来ることがあるからです。
「●番の領収書について聞きたいんだけど…」
「実績報告書の▲ページ目の、上から■番目の項目についてですけど…」
なんて電話がかかってきたときに、補助金事務局の手元にある資料と自分の手元にある資料で並び順が違っていたらお互いに混乱してしまい、確認どころではありません。
また、税務署の会計監査がある事業所ではそちらでも領収書の原本が必要になります。
そこで、一番いい保存方法としては
- 実績報告書&証拠書類は補助金事務局に提出する用と自分の事業所で保管するように2部同じものを作る(証拠書類は事業所保管用もコピーを使います)。
- 証拠書類の原本は補助金事務局からの紹介にも税務署の会計監査にもどちらにも対応できるように、いつでも取り出せるように保管しておく。
ようは、証拠書類のコピーは補助金事務局の提出用だけでなく余分に作っておく、ということです。
Point 76 .帳簿や証拠書類はいつまでとっておけばいいの?
補助金についての帳簿や請求書・領収書などの証拠書類は補助事業完了年度の終了後5年間は保存しておきます。平成26年度の場合、平成32年3月31日までは保存しておいてください。
補助金事務局や会計検査院など国の機関から監査に入られる場合がありますので、その際はスムーズに出せるようにしてください。
また、税務申告という意味ではその事業年度の確定申告書の提出期限から7年間は保存しておかなければなりません。平成27年中にプロジェクトを実施したのであれば平成35年になります。
自分の事業所の保管用に実績報告書&証拠書類のバインダーを作ったら、表紙に「●年●月●日まで保存」と書いておいてください。
コメント