◆補助事業計画
◆1.補助事業で行う事業名
補助事業名は必ず30文字に収まるようにします。
1文字でもオーバーするとその時点で不採択という噂もある位です。
補助事業名としては
・新商品〇〇の開発
・〇〇サービスの開発
・〇〇サービスによる売上アップ
・〇〇による販路開拓
・〇〇による客数増
といった名称がいいと思いますが、自社の課題内容も踏まえてもいいと思います。
これまでに採択された申請の補助事業名が小規模事業者持続化補助金の公式サイトで公開されてますから参考にしてみてください。
◆2.販路開拓など(生産性向上)の取組内容
◆補助事業の概要
ご自身が設定した補助事業(プロジェクト)について、1〜2行程度でおおまかな内容を記載します。
経営計画の最後に書いた「◆新サービスの概要」とほぼ同じ内容になります。
・補助事業内容
・補助事業によってクリアする課題
・補助事業を行うことで期待している効果などを踏まえるといいでしょう。
◆新商品・新サービスの具体的内容
新商品や新サービスの具体的内容について詳細に記入します。
・顧客に提供する商品・サービスの具体的な内容
・料金
・データなのかDVDなど実体のあるものなのかといった提供方法・提供形態
・商品提供の流れ
・提供場所
・納期
・サービス提供回数
・6ヶ月や1年間といった提供期間
・1回あたり60分といった時間
・アフターサポート
など、詳細な内容を記載します。
ご自身の商品・サービス内容や業界などに合わせて追加してください。
◆新商品・新サービスのターゲット顧客
補助事業(新規事業)について改めて顧客像を記載します。
場合によっては経営計画に記載した顧客像と同じになる場合もあります。
先ほどの「◆新商品・新サービスの具体的内容」に記載した場合は改めて項目を立てる必要はありません。
◆販路開拓の具体的内容
集客方法と集客目標数を記載します。
見込み客はまず何を見るのか、どんなメディアをどんな順番でたどっていくのか、販売者に対してどんな方法で問い合わせや連絡をしてくるのか、最終的にどこでどんな方法でクロージングをするのか、といった具合に導線をしっかりと設計するようにしてください。
また、何件にポスティングするのか、広告を掲載する雑誌の販売部数は何誌なのか、何人くらいの人があなたのSNSを見るのか、SNSから何人くらいの人がランディングページにアクセスするのか、
といった具合に、それぞれのメディアやポイントで何人ぐらいの人がそこまで到達するのか、予測集客数をそれぞれのポイントで設定するようにしてください。
集客方法の例としては、チラシ、置きチラシ、駅前などでのチラシ配り、ポスティング、ダイレクトメール、ファックスDM、ニュースレター、新聞広告、折り込み広告、雑誌広告、フリーペーパー、駅張りポスター、交通広告、役所や店舗での広告、野立看板、電柱広告、電話営業、ラジオ、テレビCM、セミナー、イベント出店、展示会出展、
ホームページ、SNS、ブログ、SNS広告、メルマガ、
異業種交流会、知人の紹介など、
様々なやり方があります。
最近はブログやSNSでの集客に力を入れている方も多いですが、無料でできる集客方法は成果が出るまでに時間がかかる場合もあります。
また、小規模事業者持続化補助金は、有料の広告宣伝方法を利用して早く成果をあげることも制度の趣旨のひとつになっています。
そのため、広報費が計上されていないと採択されないとも言われています。
まだ有料広告を使ったことがない方は、この機会に一度チャレンジしてみてください。
◆実施スケジュールについて
補助事業について実施スケジュールを記載することで補助事業計画が絵に描いた餅ではなく、本当に実行しよう、実施しようと考えているか、意気込みが審査員にも伝わります。
締め切りや納期、スケジュールを守ることも経営者の資質のひとつとして数えられるので、行動計画を立てることは重要なことです。
実施スケジュールはガントチャートを使うと申請書が見やすくなると同時に、あなたが経営ノウハウを持っていることが審査員に伝わります。
表の1番左の列に企画や発注、キャンペーンの時期など、実施する作業内容を記入します。
一番上の行には実施時期を1ヶ月ごとに見出しとして記入しておきます。
補助事業が実施できるのは補助金交付決定通知書が届いてから補助事業実施期間内と規定されているので、開始時期に注意してください。
補助金申請の締め切り日から補助金交付決定通知書が届くまでおおむね2ヶ月ほどなので、会社やお店の事業計画に支障がなければ、補助事業の始まりの月は申請締切日から2ヶ月後にしておくと無難です。
◆想定されるリスクと対応策について
リスクと課題は似ていますが、いつ発生するのかわからないもの、潜在的なものをリスク、すでに発生しているものを課題といいます。
補助事業を実施する過程で、「〇〇が起こったらが補助事業が完了できなくなる」
「〇〇が起こったらスケジュールが遅れる」といったことを挙げ、
実際に発生した場合の対応策をあらかじめ考えておいてください。
◆当事業の推進体制について
企画や制作など、プロジェクトに関する工程ごとにリーダーや担当者を決め、それぞれの経験・実績・資格などを記載しておきます。
推進体制・実施体制を記載することで、本当にそのプロジェクトを実行できるのかアピールすることができ、申請に対する信頼性・信憑性を上げることができます。
外注先や顧問を記載してもかまいません。
外注先や顧問を記載する場合は会社名や屋号、団体名と、担当者名を記載するようにしてください。
◆創意工夫した点
この項目は今まで記載したことのまとめ的な項目になります。
ですから、項目を分けてもかまいませんが、「新商品・新サービスの具体的内容」や「販路開拓の具体的内容」など、当てはまる項目に振り分けて記載してもかまいません。
何をもってって創意工夫に当たるのかイメージがつかない方も多いと思いますが、例えば
・手作業でやっていた作業をIT化した。
・自社でやっていた作業を外注に出した。
・品質を上げるために研修を受講した。
・スタッフ教育に動画を活用している。
・在宅で仕事ができるようにシステムを構築している。
・オンライン化した。
・自動化
・業務効率化
・作業効率を上げるために店内の整理整頓をした。
・店舗レイアウトを変更した。
・スタッフの隠れた才能を活用した。
・近隣店舗と協力した。
といった具合に、プロジェクトレベルまで大きなことでなくても、今まではやっていなかった取り組みやアイディア、他社ではやっていないような取り組みを記載するといいでしょう。
それによってどんなメリットが生まれたか、あるいはどんな効果が期待できるのか
といったことも併せて記載するようにしてください。
◆他社の取り組みと異なる点
こちらも今まで記載した内容のまとめとなります。
経営計画の方でも他社との差別化ポイントを記載しましたが、今度は申請する補助事業について他社との差別化ポイントを記載します。
革新性の高い事業モデルが作れない場合、自社とは異なる都道府県で行われている事業を
自社風にアレンジすることも小規模事業者持続化補助金ではポイントアップにつながります。
ただし、自社の強みを活かしてアレンジしたり、先行する他社よりも質の高い商品・サービスを作って顧客提供価値を上げることがポイントになります。
また、他社よりも手間ひまをかけた商品や手厚いサービスを提供するなど、他社では実施できないことや実施しにくいこと、参入障壁の高い分野に進出していく方が評価も高くなります。
◆3.業務効率化(生産性向上)の取り組み内容
この項目では主に内部作業の効率化について記載します。
ITや機械を導入して作業を効率化するといった内容が好まれます。
例えば、今まで手作業で行っていたことを機械化することで作業スピードを上げたり、
パートスタッフのスケジュール管理にITを導入することで、効率と正確性を上げ、売上アップにつながるようなことです。
ただ単に業務効率化だけでなく売上アップや経費節減につながる内容の方がより高い評価となります。
◆4.補助事業の効果
補助事業を実施すると会社やお店にどんなメリットが期待できるかを記載します。
内容としては
・売上アップ
・経費節減
・利益率改善
・利益アップ
・生産性向上
・地域雇用
・顧客満足度向上
・本事業の社会的意味
・業界・市場に対するメリット
などを記載します。
地域雇用の増進など、あなたが計画した補助事業によって、あなたや顧客だけでなく、地域経済や地域雇用など社会的意義のある事業の方が国や行政の補助金については評価が上がります。
業界や市場に対するメリットなど地域的な課題や社会的な課題を解決・改善できる事業を考えてみてください。
◆売上・経費・利益に与える効果
この項目では収益計画・収益予想・収益目標といったことを記載します。
経営計画のところでもお話ししましたが、基本的には、まずは一旦Excelなどを使って月ごとに単価・客数・売上高・経費・利益をまとめた表を作ります。
それから、必要な部分を抜粋してまとめるといいでしょう。
既存事業と補助事業(新規事業)を別の行に分けてその合計も記載すると売上や経費、利益の内訳がわかりやすくなります。
収益性向上実現の根拠とありますが、根拠というよりかは理由ややり方といった意味で捉えたほうがいいかもしれません。
単価の向上については、単価を現状のいくらからいくらに値上げするのか。
サービス内容をどのように変えたり、どんな付加価値をつけることで値上げをするのか、といったことを記載します。
販売数の向上については月あたり、もしくは年あたり、いくつからいくつに増やすのか。
補助経費で導入する新しい集客方法とリンクさせるといいでしょう。
費用の削減については、どんな方法で経費を節減するのか、その結果、現状のいくらからいくらに下げることができるのかを記載します。
◆生産性向上に与える効果
小規模事業者持続化補助金に申請する場合、<一般型>にしても<低感染リスク型ビジネス枠>に申請するにしても、生産性向上に与える効果については記入する必要はそれほどありません
この項目は補助事業を行うことでどれだけ効率よく売上を上げられるようになったかといった、生産性の向上について記載します。
ものづくり補助金や事業再構築補助金に申請する方は申請要件にもなっているのでしっかりと計算する必要があります。
この表の中で最も重要な付加価値額については
付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
で計算することになります。
営業利益は売上高、売上原価、販管費から計算するので、これらの数字を改善することがポイントアップにつながるわけです。
人件費はスタッフの人数を増やしたり、給与やボーナスを増やすことで上がります。
減価償却費は新しい設備を導入することで上がります。
この表や先程お話しした収益計画は補助事業だけでなく、自社の全事業・全部門を含めた数字を記載するものなので、補助金とはあまり関係ありませんが、キッチンカーなどの車両を新たに導入するなどすると減価償却費も当然上がります。
補助経費とは関係なくても機械設備やシステムの導入など、減価償却費が増える内容は本文でも記載しておいた方がいいでしょう。
◆地域雇用に与える効果
地域の雇用を増やすことは国や行政の方針でもあります。
補助経費や補助事業実施期間にかかわらず、今後スタッフを増やす予定がある方は記載しておくといいでしょう。
記載する際はどんな役割なのか、例えば開発スタッフや営業スタッフといったことや人数も記載するようにしてください。
◆顧客満足に与える効果
事業を行う上で顧客に与える効果・メリットがないような事業・商品・サービスは実施する意味や提供する意味がありません。
顧客にとってのメリットがないような商品は誰も買わないでしょう。
ここでは商品やサービスが本来持っている価値だけでなく、潜在的なものや副次的なものを紹介してもいいでしょう。
例えば、整体業は身体の痛みなどを改善するサービスですが、顧客が整体師と話をすることで心理的なストレスの改善になることもあります。
あるいは、創意工夫ともリンクしますが、顧客があなたの商品やサービスを使いやすくなる
オプション的な内容や購入しやすくなる工夫について触れてもいいかもしれません。
◆本事業の社会的意義について
国や行政が税収から予算を組んで補助金を出しているわけですから、それはあなただけのものではありません。
あなたの会社・お店の売上アップや顧客の課題改善だけでなく、地域的な課題や社会的な課題の改善につながるような事業の方が評価はより高くなります。
地域的・社会的課題の例としては
・感染症対策
・少子高齢化
・海外進出や輸出
・インバウンド
・起業
・女性の社会進出
・障害者対応
・IT化
・働き方改革
・再生可能エネルギー
・鳥獣被害
などなど、様々なものが挙げられます。
テレビのニュースや新聞を見ればすぐにわかるでしょう。
あなたの事業や商品・サービスによって改善・解消できることがないか探してみてください。
以上で補助事業計画の解説を終わります。
テンプレートにはありませんが、経営計画と補助事業計画と補助経費の内容、補助金で何を購入するのか、がリンクしていることも重要です。
面談に臨む前に、補助経費で何を購入するのか、いくらかかるのかといった調査もしておいてください。
申請書を文章で書いていくことが難しい方は、まずはそれぞれの項目についてどんなことを書こうか箇条書きで書き出してみてください。
できる限りたくさん書き出してみて、関係ないものは後から省くようにするといいでしょう。
最後に、中澤なりに考えた評価や審査のポイントをまとめた資料を概要欄に貼り付けておきますので、こちらも補助事業計画作成の参考にしてみてください。
コメント