事業再構築補助金に申請する際にまず考えなければならないのが類型(申請類型)についてです。
事業「再構築」補助金というぐらいですから、ご自分の事業を再構築つまり作り直す必要があります。
既存事業の業種・業態からどのような新事業に作り直すかによって、事業再構築補助金では
- 「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型
- 「事業転換」類型
- 「業種転換」類型
の3類型に分かれています。
また、再構築にともなって会社組織に何らかの変更を行う場合は「事業再編」類型に申請できますし、今まで海外の工場で製品等を製造していたけれども、今後は国内に工場を建てて国内で製品等を製造するといった場合は「国内回帰」類型に申請することもできます。
今回は「国内回帰」類型について解説します。
「新市場進出(新分野展開・業態転換)」類型とは
「事業転換」類型とは
「業種転換」類型とは
「国内回帰」類型
「国内回帰」類型は今までに紹介した4つの類型とはまったく異なる類型です。
この類型は、今まで海外の工場で製造していた製品等を国内に新たに工場などを設け、国内生産に切り替える際に利用することができます。
ただし、新たに設ける工場には、先進性を有する設備などを導入しなければなりません。先進性を有する設備などを導入する費用として補助金が利用できるわけです。
最近、海外の情勢が悪化し、「日本製品の工場でストライキが発生している」「以前よりも海外の従業員の人件費や原材料費が高騰している」「日本製品の不買運動が起こっている」「海外工場で働いている日本人スタッフの身が危険にさらされている」といった問題が発生しています。
特に、以前は日本で製造するよりも海外で製造した方が安く済んだ原材料費や人件費、工場の建設費や賃料といったものが、今では日本で製造した方が安いという逆転現象が発生しているのがこの類型ができた大きな要因です。
「国内回帰」類型の申請要件
「国内回帰」類型に申請するには、
- 海外製造等要件
- 導入設備の先進性要件
- 新事業売上高10%等要件
の3つの要件をクリアしなければなりません。
海外製造等要件
①海外で製造・調達している製品であること
2020年1月以降に海外から調達した実績(納品量)や、当該製品を海外へ発注した際の発注書および海外からの納品したさいの納品書など
②国内に生産拠点を整備 する計画であるということ
新たに設ける国内生産拠点の場所や面積、製品の生産計画など
の2点を示します。
導入設備の先進性要件
補助事業により導入する全ての設備が特注品または製造機器メーカーの最新カタログに掲載されているものであることを示します。
また、同時に、性能や効能を定量的に説明することで、生産性や付加価値向上等の導入効果があることを示さなければなりません。
つまり、新たに設ける工場と導入する先進的な設備を使うことで、海外で生産するよりもどの程度効率的に生産できるか、どの程度人件費などの経費を下げられるか、顧客メリットを上げてどの程度単価を上げられるかといったことを具体的なスピードや金額で示さなければならない、ということになります。
新事業売上高10%等要件
計画期間3~5年後に売上構成比で10%以上(付加価値額の場合は15%以上)の割合を占めるように国内の新工場で製造する製品の売上高を上げていかなければなりません。
3~5年間の「事業計画期間」は公募申請のときに申請者ご自身で計画したものになりますから、事業計画期間が3年の方もいれば4年の方もいらっしゃいますし、5年の方もいらっしゃいます。
例えば、海外工場で製造していた製品A(新たに国内工場Aで生産)、国内工場Bで製造している製品C、海外工場Cで製造している製品Cがあり、5年計画で事業再構築補助金に申請して採択されたとすると、
補助事業が完了してから5年後の売上構成比が
製品A(補助事業):40%
製品B:35%
製品C:25%
という具合に、補助事業(再構築事業)で国内に新工場を設けた製品Aの売上構成比が社内の全製品の中でトップにならなければなりません。
新工場の人材確保が難点?
すでに海外に工場があるなど、「国内回帰」類型はかなり大きな企業(中堅企業)向けだと思われます。
新設工場の立地計画、建設工事、機械設備の導入、製造スタッフの確保など、大がかりなプロジェクトになりますので、各地域の行政や産業振興センターとの連携をお勧めします。
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